「持ち家を貸して家賃収入が入ると、介護保険の自己負担や保険料は変わるの?」
そんなご心配に、一般的な制度の仕組みをご紹介します。ポイントは次の3つです。
自己負担は、まず「160万円」が分かれ目
ご本人の合計所得金額が160万円未満なら、家賃収入があっても1割です。
変わるのは介護サービス費の部分だけ
居住費・食費は変わりません。介護サービス費の自己負担には、月の上限もあります。
保険料は、所得に応じた段階で決まる
家賃収入で所得が増えると、保険料の段階が上がることがあります。
自己負担割合は何で決まるの?
ご本人の前の年の「合計所得金額」を基準に、市区町村が判定します
合計所得金額が160万円未満
1割
合計所得金額が160万円以上220万円未満
年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上なら2割、それ未満なら1割
合計所得金額が220万円以上
年金収入+その他の合計所得金額が340万円以上なら3割、280万円以上なら2割、それ未満なら1割
※ 280万円・340万円は、65歳以上の方がご本人だけの世帯の基準です。ご夫婦など、65歳以上の方が2人以上いる世帯は基準額が違います。
※ 40〜64歳の方、住民税が非課税の方、生活保護を受けている方は、所得にかかわらず1割です。
※ 判定は毎年行われ、負担割合証の期間は8月1日から翌年7月31日までです。
年金収入が中心の方は、公的年金等控除(65歳以上で、年金以外の所得が1,000万円以下なら最低110万円)が差し引かれるため、合計所得金額は年金の受給額よりかなり低くなります。家賃収入(家賃から経費を差し引いた後の金額)が加わっても、ご本人の合計所得金額が160万円未満であれば1割のままです。
試算の一例を見る
年金収入が月13万円(年156万円)の場合、公的年金等控除の110万円を差し引くと、合計所得金額は約46万円で、160万円未満のため1割です。ここに家賃の純収入(家賃から経費を差し引いた後の金額)が月8万円(年96万円)加わっても、合計所得金額は約142万円で、160万円未満のため1割のままです。
※ 実際の判定は、ほかの所得の状況などによって変わります。具体的な見通しは、お住まいの市区町村の窓口や税理士にご確認ください。
家賃収入が増えて、2割になったら?
家賃の純収入が多く、合計所得金額が160万円以上になると、年金収入などの合計によっては2割になることがあります。その場合も、変わるのは介護サービス費の自己負担の部分だけです。居住費・食費など、施設の料金のほかの部分は変わりません。
自己負担には、月の上限があります(高額介護サービス費)
介護サービス費の自己負担が1か月の上限を超えた分は、申請すると払い戻されます。住民税が課税されている世帯で、課税所得が380万円未満の場合、上限は世帯で月44,400円です。
※ 上限額は、世帯の所得によって変わります(住民税が非課税の世帯は月24,600円など)。居住費・食費は上限の対象外です。
介護保険料(65歳以上)はどうなる?
65歳以上の方の介護保険料は、お住まいの市区町村ごとに決まっています。ご本人と世帯の住民税の課税状況、ご本人の合計所得金額、課税される年金の収入額などによって段階が分かれ、段階ごとに金額が決まります。
そのため、家賃収入で合計所得金額が増えると、保険料の段階が上がることがあります。段階の数や金額は市区町村によって違います(たとえば柏市は、令和6〜8年度は18段階です)。お住まいの市区町村のホームページや窓口でご確認ください。
2割負担の基準は、見直しが議論されています
介護保険の自己負担が2割になる人の範囲(所得の基準)の見直しが、国の審議会(社会保障審議会 介護保険部会)で議論されています(2026年9月時点)。まだ決まっていません。決まりましたら、このページも更新します。
※ 介護保険制度は3年ごとに見直されます。最新の内容は、お住まいの市区町村の窓口でもご確認ください。
確定申告について(簡単に)
持ち家を貸して家賃収入が入ると、その収入は「不動産所得」として扱われ、確定申告が必要になることがあります。
確定申告が必要になる場合の考え方を見る
公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得(家賃収入から経費を差し引いた後の金額など)が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税の申告が必要な場合があります。
※ 申告が必要かどうかは、収入の種類・金額・控除の内容などによって変わります。実際の申告については、税理士にご確認ください。
経費・減価償却の考え方を見る
家賃収入から所得を計算するときは、経費を差し引きます。経費としては、固定資産税、修繕費、管理委託料、火災保険料などが認められることがあります。また、建物部分の取得費用は、耐用年数に応じて何年かに分けて「減価償却費」として計上できる仕組みがあります。
※ 経費として認められる範囲や減価償却の計算は、物件の状況や取得時期などによって変わります。具体的には税理士にご確認ください。
ケアマネジャー・専門家の方へ
このページは、ご家族が制度の大まかな仕組みを知るための入り口として用意したもので、専門的な判断や個別の計算に代わるものではありません。ご家族への説明の一助としてご覧いただく場合も、「考え方の入り口」としてご活用いただければ幸いです。内容について気になる点やご指摘がありましたら、下のLINEまたはお電話でご連絡ください。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」(令和8年4月1日現在法令等)/柏市「介護保険サービスの利用者負担割合」(2024年6月21日更新)/柏市「介護保険料額の決まり方」(2026年4月1日更新)/厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」介護サービスにかかる利用料(高額介護サービス費)/厚生労働省「第136回社会保障審議会介護保険部会」(2026年9月18日)
最終確認日:2026年10月8日(自己負担割合の判定基準・高額介護サービス費の上限額・介護保険料の決まり方・2割負担の見直しの議論の状況)、2026年10月2日(公的年金等控除・確定申告が不要な条件)
ご注意(免責)
本ページでご紹介した内容は、2026年時点で公表されている一般的な制度情報を整理したものであり、特定の個人の状況に対する助言ではありません。介護保険の負担割合の判定、確定申告の要否、経費・減価償却の計算等については、実際の所得状況や個別の事情によって結果が異なります。制度は将来変更される可能性があります。実際の判断にあたっては、税理士・社会保険労務士・ケアマネジャー・お住まいの自治体の窓口など、各分野の専門家にご確認ください。本ページの内容を利用されたことにより生じた損害について、当室は責任を負いません。
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